『人生100年時代における生命保険業界の役割について』まとめ②社会課題
こんにちは。元売れない保険屋Tです。
2020年4月17日に生命保険協会から公表された『人生100年時代における生命保険業界の役割について』のまとめ記事2回目です。
前回は環境変化についてまとめたので、今回は社会課題についてまとめていきます。
主な社会課題
支え手の減少
日本の社会保険制度は賦課方式なので、現役世代の保険料は現在の高齢者の方の年金の原資となっています。私たちが年金を受け取るタイミングでは、その時の現役世代の保険料から支払われることになります。
賦課方式のメリットデメリットは下記がよくまとまっていたのでご参考下さい。
今のように少子高齢化の時代ですと、時が経つほど現役世代の負担が重くなっていきます。
現在と同じように20歳~64歳を現役世代と定義したとすると、
2019年では1.9人で1人を支えている状況ですが、
このまま行くと2065年には1.2人で1人の高齢者を支えなくてはなりません。
そこで、仮に現役世代を74歳に延長してみたと仮定すると、
2019年では4.7人で1人、2065年でも2.4人で1人を支えればいいという事になります。
現在現役世代の我々からすると、『え、そんなに働くの!?』という話ですが、実際に既に国はその方向で動いております。
4/14には年金改革法案が衆院本会議にて審議入りしており、年金受給年齢を75歳まで引き下げ可能にしたり、就労促進のために在職老齢年金の減額基準を月28万円から47万円に引き上げる予定です。
実際に現役時代を長期化できるのか。という話ですが、できるようです。
こちらのグラフを見ると、実際に高齢者の体力は昔に比べると向上していますし、意識調査においても65歳を支えられるべき年齢と考えている人は4.5%しかおりません。
そして、次の課題になりますが、実際に老後生活を考えた際には高齢期の収入も重要になっています。
また、就労人口においては女性の、特に出産後の女性の就業環境の整備をしていく必要があります。
老後生活資金の不足
黒い点線が何もしなかった場合、青い太線が現役時代に資産形成し、老後にも資産運用を行いながら取り崩していった場合のイメージ図になります。
国が進めたい方向としては、老後の就労継続と、資産運用への理解と実施です。
そうすることによって人口が減少していくような状況でも豊かな老後生活を送ることができるようになります。
資産運用をするためにiDeCoやNISAなど様々な制度を国が後押ししている一方で、金融商品が複雑化しおり、金融リテラシーの向上が急務となっています。
現状ではまだまだ資産の安全性を重視する人が多いのが現状です。
また、多様化している社会において、個々人のライフプラン・マネープランをしっかりと持っていないのも、資産形成・運用をしづらくなる要因ではないかと思われます。
多様化する社会の中で、それぞれが豊かな生活を送るためにはしっかりと準備が必要になります。
平均寿命と健康寿命のギャップ
平均寿命と健康寿命の差は、
2016年段階では男性で平均8.84歳、女性で12.35歳です。
このギャップが多いことで下記のような問題が生じます。
- 医療費の増加
- 介護費の増加
- 介護・看護のための離職による就業人口の減少
この差を埋めるために健康の維持・増進が必要であるが、実際には約半数の人が何もしていないという現状です。
数年前からランニングが流行しているように感じますが、運動の習慣や食事など普段から気を付けていきたいものです。
認知症の増加
また、これから来る高齢化社会において認知症も大きな課題となります。
というのも、65歳以上人口における認知症の人の割合が今後急増していきます。
2012年には7人に1人。
2040年には4人に1人。
2060年には3人に1人が認知症という推計があります。
また、認知症自体は誰でもなり得るものなので、正しい理解と準備が必要になります。
正しい知識を身に付けることによって、認知症の予防と、共生できる社会を実現していくことが必要です。
その他(少子高齢化対応全般)
また、高齢社会・地域格差のある時代に突入することは必至なので、
- 金融サービスにおける高齢者保護、利便性の向上
- 地域包括ケアシステムの構築により高齢者への生活支援の充実
- 人口減少地域でのサービスの維持
も行っていく必要がある。
まとめ
前回見た環境変化によって生じる社会課題について今回はまとめました。
人生100年時代の到来により高齢社会が進展していきますが、将来を予測しっかり準備することでより明るい社会を実現することができれば良いのかなと思います。
次回は、生命保険業界としてどのように社会課題に向かっていけるかをまとめていきたいと思います。