【営業マン必読の書】影響力の武器-なぜ、人は動かされるのか-
こんにちは。
元売れない保険屋Tです。
今日は営業マンとしては必ず読んでおいた方が良い本として『影響力の武器』を紹介します。
なぜ読んでおかなくてはならないかと言うと、人が無意識反応してしまう影響力のある6つの原理原則について研究結果や事例を用いて説明されているからです。この本の原理原則は営業やマーケティングに中にどれくらい巧妙に組み込まれているか、読んだときに愕然としました。あらゆる人を動かすためのテクニックの源となっています。
ただ、僕ら営業マンはこれを使ってお金を稼ぐことが目的なのではなく、大切お客様の課題を解決し、幸せな生活を実現するための一助となるのが目的なので、悪用をしないように気を付けなくてはなりません。
実際に事例として詐欺や事件などのあまり好ましくない事例についても出てきますし、本の趣旨もそういったテクニックを用いた勧誘に合った際の防衛法について知っておくべきであるという点です。決して僕ら営業マンがこれらのテクニックを悪用して売り上げを上げる事ではありません。
お客様の事を誠実に思う”あり方”の方が重要だという点を忘れずに読まれると良いと思います。
コミック版もあるんですね。これで読めばよかった・・・
作者のロバート・B・チャルディーニさんはアメリカの社会心理学者です。
なので、影響力の武器は、人が心理学的な観点からどのように影響を受けるかという事が掛かれています。さらにその中でも複雑な社会で生き抜くためにDNAにインプットされている、無意識に反応してしまう人の特性に着目しています。
人が動かされる6つのルール
1.返報性
人は何かをしてもらうと『受けた恩を返したくなる』という性質を持っています。
ギブアンドテイクと昔から言われていますが、これは人が社会的な生活を円滑に進めていくための生存戦略がベースにあるということです。人が社会の中で生存率を高めるには人からの恩を返すという戦略が最も適していたという事です。
例えば、寄付の際にも先に何かをプレゼントした後の方が寄付金額が増えるというデータもあります。
また、営業テクニックにおけるドアインザフェイスもこの返報性のルールを使ったものです。
まず大きな提案をし、そのあとに譲歩し小さな提案を通しやすくするテクニックですが、”譲歩”も返報性ルールにおけるギブに該当するというのです。
つまり、大きな提案を受けることができなかった際に相手が譲歩をしてくれると、人はその恩に報いなければいけないというスイッチが入り、その後の提案を受け入れやすくなるそうです。
このテクニックは僕の大好きな漫画のハンターハンターにも出てきました。
詐欺とチンピラの常套手段としてですが笑
こちらの巻です。
2.一貫性とコミットメント
人は、自分で表明した意見に対して一貫性を保とうという性質があります。
これはよく怪しいセミナー等でも自分の言葉で言わせて(=コミットメントさせて)、その後一貫性を保たせようというものがあります。
また、セールスの現場でもよくお客様に言ってもらうというのを意識的に行っている方も多いですよね。これはこの人は一貫性を保ちたがるという性質から来ています。
しかもこれは自分の意志とは反したものでも、例えばある文章を紙に書いてもらうというだけでも効果を発揮するという恐ろしい性質があります。これは中国軍が米国人捕虜に使っていたテクニックとして紹介されています。
恐ろしいですね。
相手の言葉で言ってもらうというのはこんな人間の性質からも求めている結果に結びつけ易いのですね・・
この本を読むまでは何となく”言わせる”ことが大事だと教わったから意識的にそうしていましたが、今は意識的にお客様が望む未来について”語って”頂けるように努力してます。難しいですが。
3.社会的証明
都会はよく人が冷たいと言われます。多くの人が無関心で困っている人を助けない傾向にあると。
そんな減少をチャルディーニ氏は社会的証明という人間の性質から説明しています。
つまり、人はよくわからない状況であればあるほど、周りの人の行動に参考にするとの事です。おなかが痛くて蹲っている人を見た時に、本当に危険な状況なのか演技なのかよくわかりません。その時に人は周りの人がどのような対応をしているかで自分の行動を決める性質があります。一方で、田舎は周りで社会的な証明をしてくれる人がいないため、自分が何とかしなくてはいけないので助けるという行動に出やすいとの事です。
保険営業の場面でも、すでに加入済みのお客様の事例を出したり、紹介をお願いする際にも『〇〇さんも~』と言うようなトークスクリプトがあったりします。それらもこの社会的証明という原理を用いたものでした。
一方で、大勢の場で一人の人に行動を促す場合は、(本では自分が体調不良で倒れた事例でしたが)一人の人に向かって話しかけると良いとされていました。
4.好意
人は好意を持っている人に同意したくなる性質を持っています。
人が好意を抱くポイントはいくつかあります。
外見的な魅力であったり、自分との類似性、褒めてくれる、接触頻度、連想による結び付けです。
ついつい綺麗な人の依頼には応えたくなったりしますよね。それも人の本能的な性質によるものでした。
また、自分に似ている人や同じ出身の人とはすぐに仲良くなったりしますよね。これはこういった人間の本能的な性質によるものです。営業現場でもよく共通点を見つけましょうと言われます。
また、お世辞であったとしても人は称賛に対して無条件に好意を抱いてしまったり、接触頻度が高く同じ目標に向かって進む人とは連帯感を生みやすくなります。
さらに、何か印象の良いものと結びつけることによっても好意を抱かせることが可能とされています。例えば企業の製品マーケティングの中で、有名人を起用することでその製品イメージを創り出す手法などが例として挙げられます。
5.権威
人は権威を持った専門家の言う事に対して正しいと感じてしまう性質があります。
これは何となくわかりますよね。
6.希少性
こちらも言わずもがなな気がします。
希少性の高いものは欲しくなりますし、限定されると欲しがってしまうのが人間の性です。
まとめ
以上の6つの人間の特性によって、人は無意識化で動かされてしまいます。
それは人間が社会を形成する中で身に付けてきた本能的な能力なので不可避なものです。
営業マンにとっては上手く使うことで大きな武器にもなりますが、同時に武器を使うには自身の人間性については深く考えておく必要があります。
自分にとって持っていきたい方向に持っていくのが営業の仕事ですが、人の無意識に働きかけて結果を得ようとするならば、それは必ずお客様にとって良いことである必要があります。
悲しいことに影響力の武器の中でかかれているこれらの特性に対する事例は、必ずしも良いことばかりではありません。これらの原理を使ったテクニックを用いれば人にとって悪い影響も与えることができます。
営業セミナーなどで出てくる内容はこの本を参考に作られているものが驚くほど多いです。また、営業に関係なくても世の中にこれらのテクニックを用いたものが沢山あります。僕ら営業マンはこの本読むことで大きな学びを得ることができますが、これらの武器を良いことに使える人間であることが求められます。
すみません、最後失速しました。
気が向いたときに追記します。。
影響力の武器 実践編[第二版]:「イエス! 」を引き出す60の秘訣
- 作者:ノア・J・ゴールドスタイン,スティーブ・マーティン,ロバート・B・チャルディーニ
- 発売日: 2019/12/05
- メディア: 単行本